わたくしさっとんはスコッチウイスキーも多少嗜むのですが、昨年夏にクラフトジンにハマってからというもの、クラフトジンを飲むようになりました。
というのも、嫁はウイスキーは苦手らしく、ウイスキーを飲むことには一切理解を示してくれませんでしたが、ジンは好きで2人で楽しめるということで、我が家では毎日の晩酌のお供となりました。
しかし、たまにスコッチを飲むと、やっぱり美味しさに感動します。
本当に奥深くて薫り高く美味しいですよね~。
今回の記事では、スコッチウイスキー~クラフトジンという流れ、スコットランドの蒸留所にフォーカスしてみました。
目次
近年爆増 スコットランドの蒸留所
近年のジンブームも手伝い、ここ10年程でスコットランドの蒸留所が爆増しました。
下記記事によると、2010年~2019年の間に蒸留所の数が93%増加したとのことです。
The Scottish Parliament Information Centre の記事
GDPにおけるスピリッツ産業の割合も、1.4%に上昇しました。
今では、全世界で売れているベスト3のジン:ヘンドリクス、タンカレー、ゴードンも、全てスコットランドで蒸留されています。
スコットランドで作られるジンの種類も、一年間で60種類増えたとのことです。
蒸留所を新たに作るにしても、今ほどジンがブームになっていなかった頃はウイスキー蒸留のみでは蒸留所の運営がとても大変でした。
というのも、ウイスキーは原酒を樽熟成させて色づいてくるまで3年くらい待たない内は、なかなかリリースされづらいものです。
10年を経たものでは、やはり味の深みやまろやかさが全然違ってきます。
スコッチを熟成させている間に、熟成させる必要のないジンを作って、蒸留所の運営資金を賄うというのがジンブームによって追い風になりました。
その手法により新な蒸留所がどんどん生まれ、ジンのリリースから始まって、将来的にはウイスキーもリリースしていくという蒸留所がとても増えています。
スコッティシュジンの魅力
本当に主観的な意見なのですが、スコットランドのジンが美味しすぎてまったくハズレがないというのが感想です。
世界中に、名だたるスコッチウイスキーを送り出すスコットランド。
その蒸留技術力の高さから、世界中のウイスキーメーカーがスコッチの蒸留技術者を自社に招きたがっているとのことです。
ジンとウイスキーではベースとなるスピリッツは違うものを使っていますが、それでも、蒸留のプロにかかればクオリティーが高いものが世に送り出されます。
また、お酒の蒸留は、スコットランド政府が国を挙げて一大産業としてますので、国からの手厚い援助があるとのことです。
やたらと高い酒税を課したり、コロナ禍で禁酒法の様な規制を作ったりするような日本とはエライ違いですね(ボソッ。。)。
そして、使われているボタニカルも地元スコットランドのものが多いですが、ローワンベリーやシーバックソーンなどの割と寒冷地で育つベリー系の実から、シーウィード(海藻)など、とてもジンにマッチするボタニカルが使われています。
一概には言えませんが、他の国に比べて、ボタニカルにシトラス(オレンジピールやレモンピールなど)を使うよりも、ベリーを多用することによって甘みと酸味を加える、という割合が多く感じます。
ローワンベリー
シーバックソーン
真面目な国民性(スコットランドは一応イギリスなので地域性?)からきているのか、どんなボタニカルを使っても、とてもバランスの良いクオリティーの高いジンを作られます。
どれか一つのボタニカルが突出しているというよりは、全てのボタニカルのバランスを整えて、さらにスコットランドの綺麗な水によって仕上げられるというボトルが多いように感じます。
今回の記事では、ウイスキーをすでにリリースしている蒸留所が作ったジンに注目しました。
では、歴史が浅い蒸留所から老舗蒸留所まで、個人的に美味しいと思ったスコッチ蒸留所によるジン、8本を紹介していきたいと思います。
※わたくしさっとんは、スコッチはとても美味しいと感じますが、そこまで知識があるわけではありませんので、蒸留所の概要をざっと書き、ジンにフォーカスを当てて紹介させて頂きます。また、参考ボックス内の海外のサイト等を参考にさせて頂きました。
ストラスアーン蒸溜所 (ハイランド) ストラスアーン オークド・ハイランド・ジン
まずは、近年新しく設立された蒸留所から。
2013年に設立された若い蒸留所
エディンバラの北、パースからほど近い位置にある村・メスベンに作られた蒸留所。
2013年の設立とのことでかなり若い蒸留所で、まだまだ小規模で蒸留をしています。
設立者のうちの一人、Tony Reeman-Clarkの前職はなんとITエンジニア。
ウイスキーもリリースしてますが、蒸留したてのウイスキーの原液の「ニューメイク」や3年熟成のものしかまだ出ていないようです。
ちなみに、3年熟成のボトルは100本のみの限定販売だったとのことで、ボトルナンバー001番のボトルは、オークションで£4,150(現在の為替レートで63万円)の値が付いたとのことです。
これから長期熟成のウイスキーが出てくると思われますが、将来が楽しみな蒸留所の一つです。
ジンの特徴 テイスティング
通常のジンは透明ですが、このジンはオークチップを漬け込むことによって茶色がかった色をしています。
フルーティーさはあまりありませんが、バニラやキャラメルの風味がしてとてもまろやかな味わいです。
また、オークがとても薫り高く、ストレートをテイスティンググラスで香りを楽しみながら味わうのも至福です。
ジンとウイスキーの中間の様な味で、海外のサイトで調べても、「ウイスキーラバーも必ず好きになる」等のことが書かれています。
普通のジンとは一味も二味も違うので、ぜひとも広く飲まれてほしい一本です。
https://www.strathearndistillery.com/
https://scotchwhisky.com/whiskypedia/1893/strathearn/
エデンミル蒸留所 (ローランド) エデンミル ゴルフ・ジン
次に、ゴルフコースで有名。セントアンドリュースにある蒸留所。
これは珍しい 蒸留所 兼 醸造所
なかなか珍しいパターンで、ウイスキーやジンなどの蒸留酒を作りながらビールも醸造しているという、ハイブリッドな蒸留所です。
歴史が浅いと書きましたが、実際のところ、起源自体は1800年第前半になります。
久しくその醸造が途絶えてましたが、2012年にビールの醸造所として復活し、2014年からは蒸留も始まりました。
その時点でスコットランド初の、蒸留所・醸造所の両方の機能を持つ酒造となりました。
まだ蒸留所としては若いので、まずはジンを主力にして、これから熟成されたウイスキーがどんどん世に出ていくことでしょう。
将来的に、10年以上熟成されたウイスキーがリリースされるのが楽しみです。
ジンの特徴 テイスティング
エデンミル蒸留所のあるセント・アンドリュースはゴルフで超有名。
ゴルフプレイヤーにとって、お茶だけではなくジンも楽しめるようにというコンセプトの元に作られました。
ヒッコリーなど、ゴルフコースを連想できるようなボタニカルが使われていて、ウッディーな味わいがあります。
そして、ゴルフコースに自生している花々や、海沿いのゴルフコースということもあり海岸で採れる海藻も使われています。
華やかさがあり、ジントニックにするとても美味しいです。
バルメナック蒸留所(スペイサイド) カルーン・ジン
わたくしさんっとんは、この「バルナメック」というスコッチウイスキーは飲んだことはないのですが、相当渋い一品でいぶし銀の様な魅力があるということです。
ほぼ200年の古い歴史のある蒸留所
蒸留所設立は相当古く、1824年までさかのぼります。
その後、第一次世界大戦後の1920年代に Distillers Company Limited(DCL : 現ディアジオ)に買収されました。
その後、紆余曲折あり製造を中止したりなどしたりしましたが、1997年のInver house Distillers Limitedによる買収により、翌1998年からスイスキーの製造再開を果たしました。
蒸留所は、スペイサイド地域、スペイ川流域の渓谷のある町:クロムデイルに位置してます。
スペイ川の水はスコッチづくりにとって、とても良い水質だということです。
ジンの特徴 テイスティング
まず香りを嗅いでみると、華やかという感じはなくじっくり重厚な香りがしてきます。
口に含んで見ると、甘みが前面に押し出されていることを感じられます。
手摘みされた地元のボタニカルを使っているとのことですが、とにかくベリー系の甘みと酸味のバランスが絶妙です。
ローワンベリー、ブラックソーン、ホーソーン、ブラックベリー、ビルベリー、エルダーベリーなどのベリー系の果実と、ミントのハーブ感、バラのフローラル感、リンゴの甘みのバランスが完ぺきに取れています。
これも、ジントニックにすると複雑ながらとても飲みやすく、物凄く美味しいんですよね~。
ガーヴァン蒸留所(ローランド) ヘンドリクス・ジン
今回は、2記事に分けて8種類のジンを紹介しますが、全編最後は、クラフトジン界を一変させた一本:ヘンドリクスジンについて紹介します。
ウィリアム・グラント(William Grant & Sons)の所有する巨大蒸留施設
超有名スコッチ・グレンフィディックやグランツをリリースしている William Grant & Sons。
そのWilliam Grant & Sonsによって所有されているガーヴァン蒸留所が、ローランドのガーヴァンという村にあります。
個別の蒸留所というよりは、William Grant & Sonsの所有する敷地内に蒸留施設が複数ある巨大な施設という感じです。
グレインスコッチのガーヴァン蒸留所、ヘンドリクスジンのgin palace、アイルサベイ蒸留所が敷地内に点在しています。
ジンの特徴 テイスティング
まさに、ジンの概念を変えた歴史に残る一本ですね。
William Grant & Sonsは、従業員の女性蒸留士:レスリー・グレイシー氏に新しいジンの商品開発を命じました。
そうして生まれたのがヘンドリクスジン。1999年に世に出ました。
きゅうりとバラがボタニカルとして使われているという点で、甘く瑞々しくアロマティックな味わいが特徴的です。
まあ、最初にこのジンを飲んだ時は「なんだこりゃ!」となりました。
どのジンとも違う味わいで、本当に唯一無二だと思います。
ヘンドリクスは数種類ありますが、どれも個性的ながら美味しく、素晴らしいボトルしかありませんね。
後編に続く
後半では、下記4本を紹介していきたいと思います。
- オールド・ラジェ・ジン (蒸留ではなくボトリング)
- ベン・ローモンド・ジン
- レッド・ドア・ジン
- ザ・ボタニスト・ジン
スコッチウイスキーファンにもオススメしたい。スコッチの蒸留所で作られるクラフトジン 8選 後編