皆さん、楽しいジンライフを送ってますでしょうか?
お酒の楽しみ方と言えば、バーに行って飲む、自宅にボトルを買い揃えて晩酌する、それぞれのお酒の作られている背景を知って知識を楽しむ等々色々あると思いますが、最上級に楽しいお酒の楽しみ方として「蒸溜所見学」があります。
今回の記事では、私(さっとん)が、蒸溜風景を含めての蒸溜所見学をしてきたので、ご紹介したいと思います。
その蒸溜所とは、ジャパニーズジンの草分け的存在・橘花ジンを作られている「大和蒸溜所」さんです!
目次
今回の蒸溜所見学までの流れ
私(さっとん)の嫁は、大阪出身のコテコテの関西人でなおかつジンラバーなのですが、大阪に帰省するとのことでわたしも付いていきました。
色々と関西のジン名所巡りしたいな~となりまして、橘花ジンの大ファンである嫁が提案しました。
ということで、ホームページで連絡先を調べて電話したのですが、ちょうど蒸溜責任者さんがお昼休みの時間に電話をかけてしまい、その後、ご親切に折り返しのお電話をくださって見学を快諾していただきました。
後から聞いた話によると、コロナ禍が無ければもっと一般のお客さんにも蒸溜所見学に来てもらうような流れだったとのことです。
現在は、直接コンタクトを取ってもらったお客さんに来てもらっているようにしていらっしゃるとのことです。
橘花ジンと大和蒸溜所について
奈良産の大和橘と大和当帰が、華やかさとみずみずしさ、そして深みを感じさせてくれるKIKKA GIN。
アルコール度数は59%と一般的なジンより高く、芯の強さを感じさせる味わいです。
現在では、ほぼすべての都道府県においてクラフトジンが作られているというくらい、各地にジンの蒸溜所ができてきてますが、ほんの数年前までは日本で作られているジンのブランドは数少なく、「橘花ジン」は日本のジンでも草分け的存在と言えるでしょう。
橘花ジンを作られている製造元は、300年の歴史を持つ日本酒の酒蔵・油長酒造株式会社さんで、とても評価が高い日本酒「風の森(かぜのもり)」で有名です。
今回、蒸溜所長である板床直輝さんにお話しを伺えましたので、レポートしていきたいと思います。
”信じられんくらいめっちゃええ人” で ”しかもおもろい” 方なので、本当に楽しい時間を過ごさせて頂きました。
こちらの写真の方が板床さんです。
大和蒸溜所設立のきっかけ
油長酒造さんの当主・山本長兵衛さんがジン作りを始めようと思われたのにはきっかけがありました。
奈良県は、世界的なレベルのバーテンダーさんが多く、そのうちの一つ「Sailing Bar」のヘッドバーテンダーの渡邉さんに、奈良ならではのジンを作ることを提案された山本さんが、ジン作りをしようと決心を固めていったそうです。
その際に、板床さんが手を挙げて蒸溜を進めるということになりました。
蒸溜をするには免許が必要で、しかもお酒の品目によって免許の種類も細分化されています。
油長酒造溜では、ジン作りをするための製造免許はすでに取得されていたので、大前提はクリアしていたということですね。
しかし驚きなのは、板床さんが独学でジン作りを勉強されたとのことです。
大和蒸溜所の外観・内観
大和蒸溜所は、奈良県の御所市(ごせし)にあります。
JR / 近鉄 御所駅から徒歩7-8分くらい。
御所市は古くからの古民家が残っているので、通りもとても素敵ですよ~。
こんな素敵な街並みを通っていくと…
大和蒸溜所さん登場。築150年ほどの古民家をリノベーションして作られているとのことで、本当に素敵な雰囲気です。
大和蒸溜所(Yamato Distillery)のロゴも美しい。
一歩中へ入ると柑橘の良い香りが。その日は偶然にも月に数回の蒸溜をする日だったとのことで、本当にラッキーにも蒸溜風景に立ち会えました。
こちら入口とは反対側の奥から撮った写真なのですが、蒸溜器や冷却記が並んでいる風景は圧巻でした!
古民家らしく梁もあって、蒸溜スペースは吹き抜けになっています。
蒸溜スペースの床の部分だけコンクリートを張って、蒸溜装置の足回りを固めているそうです。
蒸溜スペースの脇にいかにも古民家らしい部屋もあり、本当に素敵な雰囲気です。
使われているボタニカル
蒸溜の様子を書く前に、どの様な素材から橘花ジンが作られているかご紹介させて頂きます。
アルコール度数 | 59度 |
---|---|
ベーススピリッツ | ライススピリッツ |
ボタニカル | ジュニパーベリー、大和橘(やまとたちばな)、大和当帰(やまととうき) |
味わい | 柑橘の爽やかさとハーブ感が強く香りながらも、ライススピリッツが使われているので心地良い甘みがあります。通常のジンよりもアルコール度数が59度と高いので、全体的にパワフルな味わいです。また、ボタニカルが3種類のみということで、ボタニカルそのものの味わいをはっきりと感じることができます。 |
ジュニパーベリー(西洋ネズの実)が使われていれば、どの様な素材が使われていてもよいといういうのがジンで、それぞれのジンならではの個性を楽しめるのがジンの最大の魅力です。
通常のジンは10~20種類のボタニカルが使われているのが一般的ですが、この橘花ジンはなんと3種類のボタニカルしか使われていません。
ジュニパーベリー以外は聞きなれないボタニカルだとおもいますので、まずは大和橘のご紹介から。
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大和橘は、2000年以上も前から日本に存在している日本最古の柑橘植物と言われています。
絶滅危惧種に指定されており、大和橘復活に向けたプロジェクトも発足されています。
まず、皮むきが大変な作業ですね。ジン作りはこの様な地道な作業もあり、本当に出来上がるまでの手間が凄いです!
大和当帰も奈良ならではの植物で、セリ科の多年生植物で生薬としても使われており、甘い芳香性を持ちながら爽やかな味を持っています。
橘花ジンは、一つ一つのボタニカルが持つ特性や風味が際立っているので、こんなにも美味しいんですね~。納得です。
蒸溜装置と蒸溜~出荷までのプロセス
まず、蒸溜装置についてですが、外国産のものを使われています。
代理店を通さないということでかなりのコスト削減になったそうですが、取り寄せ~組み立てまで自分達でやるという凄まじい行動力!
装置を見ててももの凄く頑丈そうに見えるので、装置組み立てのプロが組んだかと思うくらいしっかりしてます。
では、次に製造過程にてついてご紹介していきます。
まず、ボタニカルを下処理するのに一日かけます。
その後、ボタニカルをベーススピリッツに漬け込んで、そのまま2日間置かれるとのことです。
2日後、ボタニカルを取り出して漬け込んであった浸漬液を7-8時間蒸溜します。
こちら↑が、取り出された3種類のボタニカルです。
こちらが蒸溜器ですね。一回の蒸溜で300Lのジンを製造するそうです。
ちなみに、蒸溜酒の世界でバッチナンバーという言葉が良く使われますが、製造される回ごとにバッチナンバー001,002~などという番号が振られます。
このように↑加熱しながら、立ち昇ってくる蒸気を抽出します。
次の工程で橘花ジンならではの個性的な製法があります。
手前側の銀色の装置ですが、ボタニカルの「バスケット」というもので、ここにもう一度大和橘を投入して、抽出した蒸気にボタニカルをくぐらせるという「バスケット法」も採用してます。
おー。確かに、漬け込んだのと蒸気を通すのでは、温度帯も違うし抽出の具合も変わってきますよね。めちゃくちゃ考えられてます。
ちなみに、ジンを知っていくとたまに出てくる言葉で「ヴェイパーインフュージョン」というものがあります。
たとえば、有名なブランドのボンベイサファイナの製造方法として有名ですが、この様に蒸気の通り道にバスケットを置いてボタニカルを通過させると方法のことを指します。
バスケットを通った蒸気は、↑の冷却器に溜まっていきます。この中で蒸気が冷やされて液体になるわけですね。
その後は、2週間程寝かして、アルコールのかどを取るとのことです。
最後に、蒸溜されたジンをボトルに詰め、ラベルを張って出荷する流れとのことで、なんと、このすべての工程を板床さんお一人でなされているそうです。
最初から最後まで一貫して製造なされているので、あの美味しさも納得です。
お土産も買ってきました 新製品 橘花ジン「朱華(ハネズ)」
嫁が以前から欲しがっていた、イチゴフレーバーの橘花ジン「朱華(ハネズ)」。
購入希望であれば近所の酒屋さんを紹介してもらえます。
橘花ジン・朱華は、橘花ジンをベースにして作られており、そこにあすかルビーという品種のイチゴを大量に漬け込んで蒸溜した作られたものです。
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正直に言って、我が家では海外のイチゴフレーバーのジンは数本買って試しましたが微妙だったので、イチゴは鬼門のフレーバーで怖いのも事実。
今まで購入していたイチゴジンは、ピンク色が付いていてどこか不自然な甘さのようなものを感じていたのですが、この橘花ジン・朱華は無色透明で、イチゴ本来の芳醇な風味が香ってきて、甘さも丁度よく本当に美味しいです!
また、オリジナルの橘花ジンはアルコール度が59度と高くパンチのある味を持っていますが、朱華は43度とまろやかな作りになってます。
甘い飲み物やフレーバージンに厳しい我が家の嫁も大満足でした。
オリジナルの橘花ジン、朱華ともに大和蒸溜所さんのホームページで購入できますので、気になる方は是非覗いてみてください!
大和蒸溜所さんのホームページは、今年からリニューアルされてとてもスマートになり、橘花ジンの他にも、少量生産の実験的なシリーズ「大和Lab」や、オリジナルTシャツやグラスなど、色々な商品が新たに発売されてます。
https://yamato-distillery.jp/products.php
ちなみに我が家の嫁は、橘花ジンベースでホップやポマース(ワインの搾りカス)がボタニカルとして使われている、Bar NALUさんと共同開発された「大和Lab. T.L.D.B」の大ファンです。
これも本当に美味しかった~。
最後に
今回の記事では、大和蒸溜所さんにお邪魔して橘花ジンの蒸溜の見学をさせて様子をレポートしました。
蒸溜の流れを最初から最後まで、とても親切に教えてくれた板床さん。ありがとうございました!
蒸溜酒づくりの現場を見ることができて本当に勉強になりましたし、めちゃくちゃテンションが上がりました⤴
そして、板床さんも心の底からいい人だったので、とても良い思い出になりました。
お酒好きで蒸溜の様子も気になる方は、コロナ禍が落ち着いてからででも、大和蒸溜所さんや他の蒸溜所でも見学することをオススメしたいです。
では、今回の記事はこちらで終わりにさせていただきます。今回もお読み頂き有難うございました!