さっとんブログ スパイスカレーとクラフトジン生活 
~最高のペアリングを求めて~
蒸溜所レポ

宮城県の美味しいクラフトジン紹介 『欅ジン』 蒸留所を見学させて頂きました。

さっとん
さっとん
こんにちは。ジンラバーさっとんです。

ここ数年、特に2021年に爆発的にブランド数を増やしている国内のクラフトジンですが、宮城県では数少ないクラフトジンのブランドをご存じでしょうか?

それが、今回ご紹介する「株式会社MCG ( Miyagi Craft Gin )」さんによって作られている『欅ジン』です。

宮城県のジンと言えば「NIKKA カフェジン」さんがありますが、こちらはボトリングは他県で行われているとのこと。欅ジンさんは、蒸留~ボトリングまで県内でされる宮城県で唯一のクラフトジンとなりますので、宮城県のジン蒸留所の代表的な存在と言っても過言ではないでしょう。

今回の記事では、株式会社MCGさんに蒸留所見学をさせて頂きましたので、その様子と欅ジンについてのご紹介をしていきます。

ちなみに、私は現在は東京住まいですが生まれも育ちも宮城県ですので、帰省に合わせて「これは、なにがなんでも欅ジンの蒸留所を見学したい!」ということで、見学可能かどうかお問い合わせをしてみました。一般見学は現在受けつけてらっしゃらないとのことですが、特別に見学の許可を頂きました。

今回は、同じくジンラバーの嫁(コテコテの大阪人)も同行しています。

 

株式会社MCG ( Miyagi Craft Gin )とは

純米吟醸酒の「伯楽星」「愛宕の松」で広く知られる、明治6年(1873)創業で宮城県の老舗の酒蔵・新澤醸造店によって設立されました。

会社は2018年に設立されて、2年の開発期間を経て2020年5月に『欅ジン』が発売されました。

今回は、株式会社MCGの専務である板井遼太さんがご案内をしてくださいました。

板井さんは日本酒造りの現場にもおられたとのことですので、その経験がジン作りにもかなり役立てられています。

板井さんは、我々が何を質問しても丁寧に答えてくださる本当に人柄の素晴らしい方でした。

嫁
めっさええ人やったな!

蒸留施設の様子

日本酒の酒造から独立されたジンの蒸留所ですので、日本酒用のお米の精米施設の隣に併設されていました。こちらの精米施設もかなり立派で、宮城県では数少ない、精米作業から日本酒を作る酒蔵さんとのことです。

では、蒸留施設の中にご案内していただきました。

嫁
おー広い!

施設はピカピカで、蒸留器のみならずタンクも数多くありました。

↑ 一番奥から、ベースとなるアルコール(ベーススピリッツ)の巨大なタンクと、ボタニカルのタンク、そしてブレンド用のタンクがあります。

↑ 反対側からの写真。蒸留器は入口側にあります。

↑ まずは、ベーススピリッツ用のタンクですが、かなりの容量が入るものです。

↑ 蒸留器は、ドイツ蒸留機メーカー「アーノルド・ホルスタイン社」製のハイブリッド蒸留器を使用。

板井さん
板井さん
蒸留器やタンクは、ドイツのホルスタイン社製で、技師に来てもらって組み立てまで込みで購入しました。
嫁
蒸留器を買うと、組み立てまでしてくれるんですね!

タンクの中はこの様な感じです。ここにボタニカルとベースとなるお酒(ベーススピリッツ)を入れて加熱します。そこから上段の連続式蒸留を行う棚段(コラム)を通った蒸気が冷却をされて留液となり、写真(↓)の留液タンクに留まります。

ちなみに、留液の出始め(ヘッド)と終わりの方(テイル)は雑味も混ざりますので、真ん中(ハーツ)を取れるようタンクが複数存在しており、好きなタイミングで切り替えができます。切り替えのタイミングによりハーツの味わいが変わってきますので、その切り替え作業(カット)が蒸留作業者の腕の見せ所でもありますね。ジンのブランドによっては、カットしないで雑味をそのまま残すというものもありますが、欅ジンはハーツのみを使用して作られるとのことです。

板井さん
板井さん
日本酒でも、荒ばしり(ヘッド)、中取り(ハーツ)、せめ(テイル)を分けるという同じような概念はありますので、その感覚は分かりました。味を見ながらヘッドとテイルは使わないで、ハーツだけ使います。
さっとん
さっとん
なるほど。どうりで欅ジンはサッパリした味わいなんですね。

↑ そして、蒸留後の留液が貯められているタンクがあります。こちらはお酒づくりの設備を取り扱うBET社製のものです。

上記写真は、ジン作りにおいて必須のボタニカルのジュニパーベリーとコリアンダーの留液のタンクです。ボタニカルは全部で6種類ですが、この2つ以外は全て別々に蒸留されるということです。これは、かなり手の込んだ仕事ですね!この作業によってどのような狙いがあるのかは、後ほどご紹介します。

↑ そして、それぞれのボタニカルの留液を、上記の大きいタンクに入れてブレンドします。ジンそのものはこれで完成ですね。

↑ 最後に、ブレンドして完成したジンをボトルに詰めて蓋をして、ラベルを張り商品が出来上がります。

一週間に一升瓶(1.8リットル)を300本くらいは作られていて、結構大量に作られているとのことで驚きです!

↑そして、小型の試験蒸留器も使われていました。何か気になるボタニカルを見つけては試験蒸留してみるそうです。ものすごく勉強熱心さが感じられてとても嬉しいですね。

欅ジンのここが凄い! 製造のこだわりポイント

私はその日は、車を運転してMCGさんを訪れていました。味見をさせていただくこともできたのですが、その日は叶わず…。嫁が全て味見をしてきました。悔しい( ノД`)シクシク…

欅ジンはボタニカルに宮城県産の特産品を使用

使われている素材に関しては、同じ宮城県にある酒店のさぶん酒店さんのサイトがとても詳しく、そちらから引用させて頂きました。

■アルコール分 42度

■使用原料

宮城県産 柚子果皮 (大河原町産・柴田町産・大島産)
セリ  (名取産)  *完全有機農法
茶葉  (石巻市桃生産) *日本最北限茶葉
ぶどう果皮  (仙台市秋保産メルロー)
外国産 ジュニパーベリー・コリアンダーシード

出典:さぶん酒店さんのサイト

ジュニパーベリーとコリアンダーに関しては、なかなか国内生産のものを使うのは難しいので輸入となりますが、その他のボタニカルは全て宮城県産のものを使用されています。

ローカルの素材でジンを作るというのは、クラフトジンを楽しむ上で醍醐味となりますので、ことはとても嬉しいですね!

そして、ジュニパーベリーは海外産ですが、味にこだわった高品質のものをふんだんに使用。ジュニパー感がガツンとくるジンが好きな私にとっては、とても嬉しい点です。

板井さん
板井さん
ジュニパーの風味が濃いジンを作りたかったんです。かなりの量を入れてます。
さっとん
さっとん
確かにジュニパー感強いですよね~。

そして特に私が気になったのは、個人的に大好物である「セリ」ですね。宮城県の名産品で秋~冬に食されていいるセリですが、心地よい苦みを持っていて、その苦みの感覚がジュニパーベリーと相性バツグンです。

板井さん
板井さん
最初にボタニカルを決める時にセリはどうしても使いたいということで、セリを活かせる様な配合にしたかったんです。

ベーススピリッツにもこだわりが

そして、ベーススピリッツについてですが、新澤醸造店さんで製造したアルコールは使わずにアルコールを専門に作っている他社から仕入れているとのことです。

日本酒や焼酎の酒蔵がクラフトジンを作ろうとなった際に、自社で作られた製品をベーススピリッツにして、そこにジュニパーベリーや他のボタニカルを漬け込んで蒸留するということもありますが、その製造方法を選ぶとベーススピリッツの

板井さん
板井さん
うちは、他社さんから取り寄せたサトウキビ由来の醸造アルコールをベースに使用してます。

これは、ジンラバーの間でも議論が分かれるところですが、ベーススピリッツの風味が強いジンが好きな人もいれば、ベーススピリッツよりもボタニカルを味わいたいと思う人もいるものです。これは、完全に好みに寄りますのでどちらが良いとも言えない点ですね。

MCGさんの様に、よりニュートラルなベースを他社さんから仕入れてジン作りをするのも、かなりこだわりの強い点だと思います。

ジュニパーベリーとコリアンアダー以外はボタニカルを1種類ずつ別々に蒸留

そして、ここがかなり手の込んでいる点だな~と思いました。1回の蒸留で全てのボタニカルを蒸留するジンも多いのですが、欅ジンは、ジュニパーベリーとコリアンアダー以外は一種類ずつ別々に蒸留して作られているとのこと。ボタニカルは6種類と多くは無い方ですが、それでも一つのジンを完成させるまでに5回も蒸留しなければいけないということで、本当に手をかけているのだな~と思いました。

実際、それぞれのボタニカルはエキスの抽出時間も違えば温度も違います。別々に蒸留した方がそれぞれの風味を一番引き立たせるのは間違いありません。

また他にもメリットがあり、味のブレをなくすということにもなります。数種類のボタニカルを一緒に蒸留して作るジンには、1回の蒸留ごとに多少のブレも出てくるものです。しかし、それぞれの留液を最後にブレンドするのであれば、味見をしながら微調整していけるのでクオリティーを一定に保つことができます。

板井さん
板井さん
一種類ずつボタニカルを蒸留して、味を見ながら温度を変えてみたり、風味が足りなかったら足してみるなど、細かく調整してます。

そして、別々に蒸留された蒸留液も(嫁が)味見をさせて頂きました。めちゃくちゃありがたいです!

嫁
このジュニパーのやつやばいな。ガツンとくる。他のもそれぞれがめっさ美味い。もちろん、完成したジンは最強やね。

テイスティングノート

口に含んだ瞬間、心地よい甘みを感じられます。ジュニパーベリーも強く感じられ、柚子の柑橘風味が香ってきます。最後に、鼻に抜ける茶葉とセリの苦みもたまりません。

ストレートで飲んでもとても美味しいのですが、その甘みを活かしてジントニックにすると甘さが際立ってとても良いですね。

ソーダ割にしてもとてもスッキリ飲めますので、いろんな場面で飲むことのできる万能さがとても嬉しいですね。食中酒として和食に合わせてもとても美味しく頂けます。

さっとん
さっとん
いやー、本当に美味しいんですよ。是非皆さんに飲んでもらいたいです!

欅ジンはどこで飲めるか?どこで買えるか?

板井さん
板井さん
居酒屋さんで気軽に飲んでもらえるように、一升瓶でも作っています。ビールやレモンサワーと同じような価格帯で、ジンソーダやジントニックを飲んでもらいたいので、価格帯も一升瓶でとてもお得になるようにしてます。出荷量も一升瓶の方が多いんですよ。

現在は特約店制度で酒屋さんに販売されていますが、手広くというよりも、味を知っていて売ってもらえる酒販店さんに卸しているとのことですので、つながりをとても大事にされています。

そして、欅ジンは日本のクラフトジンでは珍しく「一升瓶」に詰められて販売されています。他に思いつくところでは「季の美」さんくらいではないでしょうか。一升瓶(1.8リットル)は、なんと5,000円ほどのお値段で購入できますので、確かに、居酒屋さんの様な提供量が多いお店にとっては、ありがたい限りですね!

宮城県内の居酒屋さんでは欅ジンを置いているお店もあり、かなり気軽に飲めました。板井さんに教えていただ仙台の人気の居酒屋さんでは、なんとジントニックが600円台で飲むことができました。

宮城県を中心にして、全国的に飲める店や変えるお店が同社ホームページで紹介されていますので、気になる方は是非お近くで試してみてください。

欅ジンが飲めるお店

欅ジンが買えるお店

また。アマゾンや楽天など、インターネットでも販売されてますので、気になる方は是非チェックしてみてください。

宮城県の美味しいクラフトジン 欅ジン

今回は、個人的にジャパニーズクラフトジンの中でかなり好きなジン『欅ジン』をご紹介させて頂きました。

海外のジンもかなり勉強されているというMCGさん。ローカルな素材を使いながら、伝統的なジンに敬意を持って作られていますので、本場イギリスのジンと比べても全く遜色ない、とても美味しいジンです!

また、宮城県の美味しい名産品「セリ」を味わえる唯一のクラフトジンではないかと思います。その心地よい苦みがクセになります。

気になった方は、見かけたら是非試してみてください。

では、今回もお読み頂き有難うございました!

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ABOUT ME
さっとん
嫁と共にクラフトジン沼にハマっているアラフォー料理男子。 2人でジンを買い続けて、家のコレクションはついに200本超え。 カレーも好きで、日々、スパイスカレー作りや、スパイス・ハーブにてついても研究してます。

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