前編に引き続き、スコッチ蒸留所の手によるクラフトジン紹介:後編をお送りしたいと思います。
まだ前編をお読みでないならば、下記からお読みいただけると幸いです。
では、後編の4本を紹介していきます。
目次
ケイデンヘッド インディペンデントボトラー(キャンベルタウン) オールドラジェ スパイスドジン

この一社だけ蒸留所ではなくボトラーなのですが、スコッチのケイデンヘッドはとても有名なので、その会社が作るジンについても説明していきたいと思います。
スコットランド最古のインディペンデント・ボトラー
ウイスキー作りにおいて、蒸留所が熟成・瓶詰までしているのがオフィシャルボトル。
対して、蒸留所が蒸留したのちにその原酒を別の会社が買い取り、独自に熟成させたり、ブレンドなどさせたボトルをボトラーズボトルと言います。
ケイデンヘッドは、そのボトラーズブランドのスコットランド最古のメーカーです。
創業当時、スコットランドの東岸沿いの交易の町:アバディーンで会社が設立されました。
1972年にJ. & A. Mitchell and Co.に買収され、現在は、正反対のスコットランド西岸のキンタイア半島の先端にある町:キャンベルタウンに会社が移動しました。
ジンの特徴 テイスティング
オールド・ラジェは、ウイスキーと同様にケイデンンヘッドが蒸留しているわけではないんですね。
他の蒸留所にレシピ通りに数種類のボタニカルと共に蒸留させたあと、それをケイデンンヘッドまで運んできて、サフランを加えてボトリングします。
オールド・ラジェには通常のジンとスパイスドジンがあるのですが、今回はスパイスドジンについて紹介します。
通常のジンの方には、オレンジピールも入っているのでシトラス感も感じられますが、スパイストジンには入ってないのでシトラスの風味はほぼ感じられません。
その代わりに、ピンクペッパー、クベブペッパー、クミンなどのスパイスが使われていますので、かなりオリエンタルな風味がします。
また、アーモンドやローワンベリーも使われているので甘さもとても特徴的です。
正当派のジンという訳ではありませんが、かなり美味しいですよ~。
ロッホローモンド蒸留所(ハイランド) ベンローモンドジン

さっとん個人的には、最近の一番お気に入りのジン。ジンのクリアさが桁違い!
スコットランド最大の湖:ローモンド湖畔にある蒸留所
ほぼ記録が残っていないそうですが、設立は1814年とかなり古い蒸留所の一つです。
1966年にリトルミルというスコッチの会社の第二工場という形で正式に蒸留を開始しました。
しかし、紆余曲折ありながら1984年に一度閉鎖されてしまいました。
その後、蒸留所が買収され1987年から営業を再開して、1994年のグレーン蒸留所開設により、コットランド初のグレーン / モルト両方を生産する蒸留所となったそうです。
現在では様々な蒸留器が導入されていて、かなり大規模の蒸留所になり商品も沢山リリースされています。
ジンの特徴 テイスティング
スコットランドで使われているゲール語で、「ロッホ」は湖、「ベン」は山という意味です。
ロッホローモンドはローモンド湖で、ベンローモンドはローモンド山となりますので、このジンは、ローモンドの地域で採れた手摘みのボタニカルが使われています。
個人的にですが、このジンが好きすぎて毎日でも飲めるくらいです!
使われているボタニカル、ローワンベリーもそうなんですがブラックカラント(カシス)も使われていて、その甘みがとても心地良いです。
それでいてすごく繊細な味で、本当にクセが無く、スッと喉の様に消えていくような余韻がたまりません。
余韻が長く残るという感じではなく、喉の奥でフワッと消えてなくなるという感覚でしょうか。
値段も3000円前後でお手頃ですので、全てのジンラバーに飲んで頂きたい逸品です!
ベンロマック蒸留所 (スペイサイド) レッドドア ジン

スコッチファンの間では人気が高い。ベンロマック
老舗インディペンデント・ボトラー、ゴードン&マクファイル社による初の蒸留所、ベンロマック蒸留所。
設立されたのは1898年と、歴史が古い蒸留所です。
やはりこの蒸留所も紆余曲折があったのちに、1993年にゴードン・マクファイル社によって買収され、ベンロマックブランドのボトルの生産は1998年から始まりました。
しかし、買収される以前から樽熟されている45年もののボトルもあるとのことなので、一度飲んでみたいものですね~。
ジンの特徴 テイスティング
今まで紹介してきた他のスコティッシュジンと同じように、ローワンベリーやシーバックソーンが使われてます。
そして、オレンジピールやレモンピールも使われてますので、同時に華やかさも相当ありです。
その上、ヴェイパーインフュージョンといる蒸留方法が使われていますので、より華やかさが増すように作られています。
ヴェイパーインフュージョンは、ボタニカルが漬け込まれたベーススピリッツを蒸留するのではなく、ボタニカルが漬け込まれていない状態で蒸留して、そこで出てくる蒸気の通り道にボタニカルのバスケットを設置して味を付けるという方法です。
スコットランドのジンの中では華やかさが高い部類かと思いますが、それでもなお甘みとシトラス感のバランスが取れていて、ひじょーに美味しいジンです!
ブルックラディ蒸留所(アイラ) ザ・ボタニスト ジン

スコッチファンの間でも熱狂的なファンが多い、アイラ島の蒸留所
アイラ島の土壌からはピートと呼ばれる腐葉土が取れますが、それを燃料にして香りや味を付けるというのが、アイラ島のスコッチの特徴的なところです。
ブルックラディもその手法を使っているウイスキーを生産しており、そのピート香に魅せられているファンも相当多いでしょう。
アイラ島は、スコットランドの西側にある数ある島々の一つで、現在8つの蒸留所があります。
どの蒸留所のウイスキーも非常に人気が高いのですが、ラフロイグやボウモアなど、スコッチファンではなくても知っている方が多いのではないかと。
蒸留所は1881年に設立されてますが、買収や閉鎖などを繰り返しつつ、2001年から生産を再開しました。
現在では、コニャックのレミーマルタンやリキュールのコアントローの、レミー・コアントローの傘下になってます。
ジンの特徴 テイスティング
地元のアイラ島に群生している、手摘みされた22種類のボタニカルが使われています。
ちょっとマニアックな話なのですが、世界で稼働しているのは数台しかないと言われている「ローモンドスチル」という蒸留器が使われています。
1950年台に作られましたが技術的な問題から使われなくなり、現在では、他にスキャパ蒸留所、また新設されたInchDairnie蒸留所という場所で使われているそうです。
そのローモンドスチルを使って、通常の3倍の時間をかけてじっくりと蒸留されたジンがザ・ボタニストジンです。
このジンは、飲み疲れしなく、丁寧に丁寧に作られた感覚がひしひしと伝わってくる。本当の逸品だと思います。
突出して何かの味が強いわけではありませんが、全てのボタニカルのバランスが非常に良いジンです。
かなり美味しいですよ~。
最後に
世界で愛され続けている、スコットウイスキー蒸留所が作るクラフトジン。
その蒸留技術力の高さから、とてもクオリティーが高いものばかりで感動させられてばかりです。
国を挙げてお酒造りにこだわっていて、老舗の蒸留所もあれば新設されている蒸留所もどんどん増加中で、本当にスコットランドからは目が離せません。
これからも素晴らしいスコッチウイスキーとクラフトジンが出てくることを願いつつ、記事も終わりにさせて頂きます。
今回も、お読み頂きありがとうございました!