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スパイス&ハーブ解説 【ナツメグ】ハンバーグなど挽き肉の臭み消しに大活躍のスパイス

さっとん
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こんにちは。さっとんです。

今回の記事では、ハンバーグなどの挽き肉の臭み消しにかなりの頻度で登場するスパイス・ナツメグについて解説していきます。

ナツメグとは

英語表記 Nutmeg

別名 ニクズク

ナツメグは、ニクズク属樹木の常緑樹・ニクズク(Myristica fragrans)という樹に生ります。

元々、インドネシアのバンダ諸島やスリランカなでの熱帯で栽培されており、18世紀になると、アフリカやカリブ諸島でも栽培されるようになりました。

ナツメグは栽培がとても難しとされ、樹を植えてから6~8年ほど経たないとその実が開花しなく、接ぎ木をしながら長年育てられます。

上記の写真の様に5cmくらいの果実が生り、中を取り出すと網目状の仮種皮に包まれた果実が出てきます。

一年に数回実を結び、一本の木から一年間で一万個の果実が生ります。

表面を覆っている赤味がかかった仮種皮が「メース」で、メースは乾燥させた後にスパイスとして使われます。↓

中身の茶色い果実が「ナツメグ」で、3cmくらいのとても硬い果実です。

スパイスとして使うには、二か月程乾燥させた後、茶色い果実をおろし金などで削ってパウダーにして使います。

カルダモンやクローブなどの他のスパイスと違って、実のままでスパイスとして使う(ホールスパイス)ことはありません。↓

ナツメグの歴史

原産地は、インドネシアのモルッカ諸島の一部、バンダ諸島が起源とされています。

6世紀頃には、アラブの商人によってローマ帝国にもたらされていたという説もありますが、正式に歴史の記述に出てくるのは10世紀頃になります。

その後は、ナツメグの希少性からヨーロッパでその価値が上がり、交易の権利を守ろうとする商人によって原産地が秘密にされ続けていました。

16世紀になるとその原産地が明るみに出て、原産地のバンダ諸島に対する植民地支配や奴隷支配をめぐって、当時のポルトガルやオランダが原住民と血みどろの戦いをしたという程です。

オランダ人によってバンダ諸島の原住民は6000人程殺され、17世紀の間はナツメグはオランダによって独占されていました

オランダ人はその希少性を守るために、ナツメグの倉庫を火事にして、在庫を減らしてその価値を吊り上げるようなことまでした、と言われています。

なぜ戦争になる程ナツメグが珍重されていたかというと、裕福な人々の間で幻覚剤になると信じられて流行していたということもあり、その価格は高騰に高騰を続けたそうです。

この血みどろの歴史から、最も血塗られた歴史を持つスパイスとされています。

ナツメグの香りと効用

オイゲノールという成分が含まれていることにより、殺菌・消臭効果があるとされています。その成分から、歯磨き粉の原材料としても使われることもあります。

また、胃腸系を正常に保つ効果もあり、胃腸薬の成分としても使われています。

香りは、ウッディーな温かさとスパイシーさを持ち合わせており、神経系の鎮静と活性を同時にもたらすので、リラックスしたい時や元気の無い時にアロマオイルを使うと良いでしょう。

ナツメグは健康への期待が大きいのですが一点注意点があり、大量摂取はしてはいけないということです。

わずか5g以上の摂取で、マリファナにも似た幻覚症状が現れるとされ、致死量はホールスパイス2粒と言われています。

その様なことや風味が強いということも併せて考えると、料理に使う際に入れすぎは十分に注意してください。

ナツメグの味と使われる料理

甘くウッディーな風味を持ち臭み消しの効果もありますので、肉料理からお菓子まで幅広く使えます。

ほのかにスパイシーで渋みもあるので、分量には十分な注意が必要です。

ハンバーグなどの挽き肉料理

挽き肉は肉を挽いてますので空気に触れ合う面積が多くなり、当然ながら肉は傷みやすくなります。

そもそも傷み切った挽き肉は料理には使いませんが、割と新鮮な挽き肉でも匂いがあるので、ナツメグを使うことによって風味を付けて肉の匂い消しをすることができます。

また、甘い風味を付けられますので、肉料理に深みを与えることができます。

ロールキャベツ、ミートボール、ソーセージなどの他の挽き肉料理にもナツメグは使われます。

また、イタリアのラザニアやギリシャのムサカの様な地中海沿岸の国の料理で、挽き肉とソースを合わせてオーブンで焼くような料理にも多用されます。

ベシャメルソースなどのホワイトソースや乳製品

グラタンやドリアに使われている、白いソースがベシャメルソースと呼ばれるものです。

通常、家庭でグラタンを作る時は市販のグラタンソースを買ってくるのが一般的ですが、このベシャメルソース、実は、家庭でも簡単に作れるので一度試してみてほしいです。

基本のレシピとして、バターを熱してそこに小麦粉を少量づつ溶かしていきながら、最後に牛乳で伸ばすと出来上がりです。

プロの料理人は、そのソースに風味付けとしてナツメグを入れる人も多いですね。

また、白い色のシチューやチーズフォンデュにも使われており、乳製品ととても相性が良いです。

バーベキューソース

ケチャップ、ソースとハチミツを混ぜると簡単にバーベキューソースが出来上がりますが、そこにスパイシーさを加えるためにスパイスを混ぜます。

バーベキューソースの基本のスパイスとして使われるのが、パプリカパウダー、オールスパイス、そしてナツメグです。

スパイスを調合することによって味が飛躍的に良くなりますので、かなりオススメです。

果物や焼き菓子

甘い香りのナツメグは、お菓子ともとても相性が良いです。

加熱すると甘みが増しますので、クッキーやパウンドケーキ、フレンチトーストなどに甘みと風味付けとしてよく使われます。

また、シナモン同様に果物ともとても相性が良いので、リンゴやオレンジのパイなどにも風味付けとして使われています。

ホットワインにも

ナツメグの甘くスパイシーな香りは他のスパイスとも相性が良く、同じような風味を持つシナモンやクローブと合わせることによって、それぞれの良さを引き立たせつつ、その強すぎるそれぞれの風味を柔らかくすることができます。

クリスマスシーズンの風物詩として、ヨーロッパの冬のマーケットで売られているホットワインにも、それらのスパイスで風味付けされて提供されてます。

最後に

今回の記事ではナツメグについて解説させて頂きました。

独特の甘い香りを持ち、肉料理からお菓子や料理にも幅広く使えます。

その甘い香りとは正反対に、世界で最も悲劇的な血塗られた歴史を持つスパイスです。

そして、その強すぎる成分から使用料を間違えると中毒になる程の危険性ですので、使用には十分にご注意ください。

ハンバーグの種に入れてこねるだけで味が飛躍的に上がりますので、是非ご家庭でも試してみてください。


また、他のスパイス&ハーブについても解説しておりますので、下記一覧のページからチェックしていただけるととても嬉しいです。

今回もお読み頂き有難うございました!

 

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ABOUT ME
さっとん
嫁と共にクラフトジン沼にハマっているアラフォー料理男子。 2人でジンを買い続けて、家のコレクションはついに200本超え。 カレーも好きで、日々、スパイスカレー作りや、スパイス・ハーブにてついても研究してます。
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