今回の記事では、聞き覚えがないスパイス「グレインズオブパラダイス」について解説していきます。
とても惹かれる名前ですよね。日本ではなかなかお目にかかれませんが、モロッコなどの西アフリカ地域の料理で多く使用されています。
目次
グレインズオブパラダイス(ギニアショウガ)とは

英語表記:Grains of Paradise
別名:パラダイスシード、パラダイスグレイン、ギニアショウガ、メニグエタペッパー、天国の種
ギニア、ガーナ、コートジボワールなどの西アフリカ地域で栽培されていて、ショウガ科の一種のスパイスです。アフリカ諸国では黒コショウの代わりや、黒コショウとミックスして料理に使用されています。
根っこはショウガの様な形状をしていますが、茎に果実を付け、その果実の中に胡椒の様な小さなシードが約100粒ほど入っています。そのシードがスパイスとして使われる部分です。
グレインズオブパラダイスの歴史
アフリカ大陸の西岸で栽培されるグレインズオブパラダイスですが、9世紀頃から、サハラ砂漠を縦断するキャラバンによってヨーロッパに運ばれていました。その頃はまだ黒コショウが大変高価だったので、ヨーロッパではコショウの代用品として使われていました。
14~15世紀になると、貿易商によって売上を上げる為に「グレインズオブパラダイス」と名付けられ、広くその名前で呼ばれるようになりました。
ヨーロッパでは、エリザベス女王のお気に入りのスパイスだったということもあったりと、ルネッサンス期には大変人気があったそうです。ルネッサンス以降は黒コショウも入手しやすくなり、ヨーロッパでのグレインズオブパラダイスの立場は随分と下火になりました。
現在では、アフリカ西部で料理に広く使われたり、ビールやジン、アクアヴィットといったお酒の風味付けとしても使用されています。
グレインズオブパラダイスの香り・効用
カルダモンに似たような清涼感のある草の香りと、ウッディな土の香りを持っています。
消化促進に効くと言われ、ヨーロッパ中世の時代から消化促進の為の薬に使用されていました。呼吸器にも良く、咳や気管支炎に効果があるともされています。
また、基礎代謝を上げる効用があり、活力増進や滋養強壮の目的にも使われます。
グレインズオブパラダイスの味と使われる料理
黒コショウの代用品として使われるということから、黒コショウに味は似ているのですが、刺激は少な目でカルダモンに近い草の様な風味を持ちます。また、ナッツに含まれるような柑橘的な味も持ち合わせています。
ラス=エル=ハヌート
モロッコ、チュニジア、アルジェリアと言った北アフリカの国で使用されているミックススパイスです。これが使われている有名な料理として、モロッコの「クスクス」などが挙げられます。他にもライスやパスタに混ぜ合わせたり、魚や肉にまぶして焼く際のマリネ液に使用されたりしています。
スパイスの組み合わせとしては、クミン、クローブ、ナツメグ、フェンネルなど十数種類のスパイスが使用され、グレインズオブパラダイスもその内の1つに入れられる場合が多いです。
シチュー、カレーなどの煮込み料理。タジンなどの蒸し煮料理

西~北アフリカの国々ではコショウの代用として使用されますので、煮込み料理には欠かせません。また、モロッコ名物の特製の鍋を使う蒸し煮料理、「タジン」料理のスパイスとしても使われます。
アクアビット、ジンなどの蒸留酒。クラフトビールにも。
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ジンの風味付けのボタニカルとしてよく見かけますが、北欧の作られる蒸留酒「アクアビット」の原料としても多く使用されます。アクアビットは香草類が多く使用される北欧の蒸留酒ですが、じわっと辛いグレインズオブパラダイスがアクセントとして多く登場します。
また、ハーブやスパイスを使用する様なクラフトビールに使われる機会もあるようです。
最後に
今回の記事ではにグレインズオブパラダイスついて解説させて頂きました。
日本では認知度の低いのですが、アフリカ料理には欠かせないスパイスで、お酒作りの風味付けとしても重宝されています。
では、次の記事では、グレインズオブパラダイスが使われているジンを紹介していきたいと思います。
他のスパイス&ハーブについても解説しておりますので、下記一覧のページからチェックしていただけるととても嬉しいです。