今回の記事では、世界中の料理に使われていて、ジンのボタニカルとしてもよく登場するスパイス・クローブについて解説していきます。
目次
クローブとは
英語表記 Clove
和名 丁子(チョウジ)
クローブは、熱帯に生育する常緑樹のチョウジノキから採取された花のつぼみのことを指します。
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上記の写真が樹になっている状態ですが、それを乾燥させると下記の写真の様な茶色い色のスパイスになります。
その形から釘のスパイスと呼ばれていて、釘の意味を持つ ”丁” という漢字が当てられました。
クローブの原産国は、インド、インドネシア、スリランカのアジアの国々や、マダガスカルやタンザニアといったアフリカなどの熱帯の国々となります。
クローブの歴史
紀元前2000年頃から栽培されており、その時代は、インドネシアのモルッカ諸島でのみ栽培されていました。
その後、紀元前200年頃の中国の宮廷内で、口臭消しとして使用されていたという記録があります。
4世紀頃になってアラブ人によってヨーロッパにもたらされましたが、その時代には全く普及しなかったとのことです。
中世になり、お香などの香料としてようやくヨーロッパでも普及するようになりました。
そして中世以降は、食品の保存や風味付けの役割として料理でも使用されるようになりました。
クローブの香り 効能
薬膳でも使われていて、腎臓に効くということから体の中から暖め血行を良くする効能があるので、冷えに効果的と言われています。
また、オイゲノールという物質が含まれていますが、抗酸化作用のある物質ですので、アンチエイジングに効くともされています。
そして、古代から口臭防止に使われている通り抗菌作用があり、消臭剤に含まれていたりと、料理で肉の臭み消しに使われていたりもします。
その消臭作用を持つこともあり、中世のヨーロッパではクローゼットにつるされていたりもしたそうです。
クローブからは精油も抽出されますが、上記の効用に加え、精神を高揚させるという効果もあります。
香りは、甘く暖かいバニラの様な香りでフルーティーさもあり、またスパイシーさも感じさせます。
クローブの味と使われる料理
ウッディーで温かい風味と甘みを持ちますが、風味自体が強いので控えめに使用することが重要です。
また、他の温かい風味をもつシナモンやオールスパイスなどと組み合わせることによって、その強い風味を和らげることができます。
甘みが強いのも特徴的で、砂糖の代わりにお菓子に甘みをを付ける役割として使われることもあります。
インドカレー
クローブには肉の臭み消しという効果があるので、特に臭みのあるラムやマトンと言ったお肉のカレーにバツグンに合います。
肉に合うスパイスとして、クローブ、カルダモン、シナモンの三種を、最初の油に香りを移すスパイス(スタータースパイス)として使うと鉄板です。
その三つは全て風味が強いスパイスなので、分量を少な目にするのが重要ですね。
中国のミックススパイス 五香粉(ウーシャンフェン)
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元々がアジア発祥ですので、中華料理にもかなりの頻度で使われます。
組み合わせに決まりはありませんが、中国で使われている五種類以上のスパイスのミックスをウーシャンフェンと呼びます。
最も一般的な組み合わせとして、ホアジャオ、クローブ、シナモン(カシア)、スターアニス、フェンネルの五種類のミックスがあります。
ポトフやビーフシチューなどの煮込み料理
フランスの、野菜とソーセージやベーコンを煮込んだスープ料理・ポトフにもクローブが使われていることが多いです。
また、牛すね肉を煮込んだビーフシチューなでも同様です。
煮込み料理用に、肉の臭み消しや体温を上げる役割としてクローブが大変役に立ちます。
ピクルス
野菜を酢漬けにしたものがピクルスですが、ハーブやスパイスも共に漬け込まれます。
レシピによるのですが、防腐作用と風味付けを目的としてクローブを使う人もいたりと、ウッディーな風味を楽しめるのも良いですね。
ホットワイン
クリスマス時期の冬のドイツやチェコ、フランスなどに行くと、路上の屋台で売らているホットワイン。
ワインに、クローブ、シナモン、スターアニスなどのスパイスを入れて煮だし、仕上げにフルーツを乗せて作られたりします。
スパイスを入れることによって体温が上がるので、冬のクリスマスマーケットを楽しむヨーロッパの人達にとっては無くてはならない存在ですね。
紅茶にも入れて風味付け
甘みと風味が溶け出しますので、紅茶に入れるととても美味しくなります。
また、クローブは桃やオレンジなどと言ったフルーツとも相性がバツグンに良いので、フルーツティーに入れるのもとても良いです。
最後に
今回の記事ではクローブについて解説しました。
独特の甘い香りを持ちお菓子や料理にも幅広く使えるスパイスです。
風味が強いので、かなり分量の調整に気を付ける必要がありますが、キッチンにあると料理がとても楽しくなります。
実のまま(ホールスパイス)で使うこともできますが、ミルなどで粉々にしてパウダースパイスとして使うのも良いでしょう。
では、次の記事では、クローブが使われているジンを紹介していきたいと思います。
また、他のスパイス&ハーブについても解説しておりますので、下記一覧のページからチェックしていただけるととても嬉しいです。