今回の記事では、スパイスの女王とも呼ばれるスパイス・カルダモンについて解説していきます。
目次
カルダモンとは
英語表記 Cardamom
別名 グリーンカルダモン、スパイスの女王
カルダモンの種類には、「グリーンカルダモン」「ホワイトカルダモン」「ブラックカルダモン」があり、今回の記事では、グリーンカルダモンに焦点を当てて紹介させていただきます。
ちなみに、ホワイトカルダモンはグリーンを漂白させて皮の色を白くしたものです。
ブラックカルダモンはカルダモンの一種ですが、また違う種類のスパイスですので、またの機会に紹介させていただきます。
この投稿をInstagramで見る
カルダモンの木は、ショウガ科の多年草で外見がツタに似ていて、最長で2~3Mくらいまで成長します。
上記の写真の様に、果実を乾燥させると市場に出回っているホール(実のまま)スパイスとなります。
果実を割ると、中から15~20個くらいの種子が出てきますが、それがカルダモンの風味の元となります。
スパイスの中ではかなり高価な方で、サフラン、バニラに続いて3番目に価格が高いと言われています。
カルダモンは非常に香りが強くて、日本人にとっては苦手な人も多いのも事実です。
食べ方にもよるのですが、カルダモンをホールのまま扱っていると、果実の中に詰まっている種子の塊が一気に口の中に入って来て、あまりに強い風味が押し寄せてしまうということがあります。
それを避けるために、調理前につぶして種子をばらけさせてあげたり中の種子だけ使うと、塊である”カルダモン爆弾”に当たることが無くなるので、苦手な人でも食べられるようになります。
カルダモンの歴史
歴史上もっとも古い記録として、4000年以上前に、古代エジプト人が歯を清潔に保つためにカルダモンを噛んでいたとの記録があります。
古代ギリシャやローマ時代には、香水として身に着けるものであったり、胃腸薬として使われていました。
その頃は、インド南部がカルダモンの主な産地であり、インド人の重要な交易の商品でした。
9世紀頃になると、北欧のヴァイキングが、現在のトルコにあるコンスタンチノープルを襲撃した際に北欧に持ち帰り、それからヨーロッパ全域に広がりました。
カルダモンは、インドや中東で料理に使われているイメージがありますが、北欧の料理でもさかんに使われるようなスパイスとなりました。
19世紀になると、インドを植民地化していたイギリスにより、インド南部の熱帯雨林に大規模なカルダモン農場が作られ、そこが’Cardamom Hills’と呼ばれ、カルダモンの一大産地となります。
それ以前はインドやスリランカがカルダモンの主要な産地でしたが、1900年台初頭にグアテマラに運ばれて栽培されて以来、現在ではグアテマラがカルダモンの世界最大の産地となっています。
カルダモンの香り 効用
カルダモンの香りとして、フレッシュな刺激をもつスパイシーな香りと爽快感があります。
シオネールという成分が多く含まれており、抗炎症作用や抗ウイルス作用をもつことから、風邪のひき始めやインフルエンザ予防に効くと言われています。
また、そのフレッシュな香りがストレスの軽減に効くとされ、心身のバランスを整えたり抗うつ作用もあります。
消化器にも働きかけ食欲増進にも効くともされてますので、インドカレーに使われているのもうなづけますね。
カルダモンの味と使われている料理
カルダモンは、スパイスの中でも刺激的な風味のする種類に属しているものですので、シナモンやクローブが持つような温かい甘みは無く、どちらかというとスパイシーでシャープな甘さを持っています。
また、刺激的でありながら清涼感のある辛みを持ち、レモンの様な柑橘の風味ももちあわせていますので、塩味のある料理からデザートやお菓子まで幅広く使われています。
インドカレー
カルダモンが使われている料理として真っ先に思いつくのが、インドカレーだと思います。
肉に合うスパイスとして、クローブ、カルダモン、シナモンの三種を、最初の油に香りを移すスパイス(スタータースパイス)として使うと鉄板です。
その三つは全て風味が強いスパイスなので、分量を少な目にするのが重要ですね。
先ほども触れましたが、果実のままカルダモンを投入すると、カルダモンの風味がカレーに移るのですが、運悪くカタマリを噛んでしまうこともあり、その強すぎる風味が口中に広がると苦手な人にとってはたまらなく不快になってしまいます。
カルダモンを入れる時は、砕いて中の種子をうまくばらけさせるのがとても良い方法です。
また、インドのスパイスミックス「ガラムマサラ」において、インドの家庭がそれぞれのレシピでスパイスを配合してガラムマサラを作っていますが、その中でも、カルダモンはかなりの頻度で使われている中心的なスパイスとなっております。
チャイ
インドのミルクティー・チャイにも、スパイス類を入れるとグッと本格的になります。
スパイスの組み合わせの一例として、カルダモン、クローブ、シナモンを入れて煮出すと、クローブとシナモンの甘みとカルダモンのピリッとした辛みがミルクティーに溶け込んで、とても香り高いチャイが完成します。
北欧のミートボール料理
北欧の料理と言えば、イケアに売っていたりもする北欧のミートボールの料理を思い浮かべる方も多いかと思います。
ホワイトソースで煮込んだりジャムを付けて食べたりなど、絡めるソースの種類も様々です。
ヴァイキングがカルダモンを北欧に持ち込んだことから、北欧の料理ではカルダモンが多用されるようになり、ミートボールにもカルダモンが練りこんであるのもその一例で、カルダモンの風味が色々な料理で生かされています。
その爽快感の風味付けにも役立ちますが、肉の臭み消しとしても一役買っています。
シナモンロールやシフォンなどの甘い焼き菓子
ピリッと辛い風味を持ちながらも、甘い焼き菓子にも使われるのがカルダモンです。
特に北欧において、シナモンロールやシフォンケーキ、パウンドケーキ等の生地に挽いてパウダーになったカルダモンが練りこまれることが多いです。
シナモンと組み合わせて使われることが多く、シナモンの甘みとカルダモンの辛みがお互いに作用して風味が柔らかになり、その爽快感が甘みを引き立たせる役割として、非常に使い勝手が良いものです。
アラビアコーヒー
インドや北欧で使われる機会の多いカルダモンですが、中東でもかなり使われています。
料理の場面で使われるのはもちろんですが、コーヒーにカルダモンやクローブなどのスパイスを入れるアラビアコーヒーがとても個性的です。
アラブ地域では、コーヒーを煮立たせる時にカルダモンも一緒に入れて、その風味をコーヒーと一緒に楽しんでいます。
最後に
今回の記事ではカルダモンについて解説させて頂きました。
爽快感がとても香り高く、スパイスの女王とも呼ばれる程のスパイスで、インド料理や北欧の料理では欠かせないスパイスの一つです。
では、次の記事では、カルダモンが使われているジンを紹介していきたいと思います。
また、他のスパイス&ハーブについても解説しておりますので、下記一覧のページからチェックしていただけるととても嬉しいです。