タイトルにもある日本の植物学の父・牧野富太郎氏という人物をご存じでしょうか?NHK朝ドラにも主役のモデルとして取り上げられ、神木隆之介さんが富太郎役を演じる『らんまん』が2023年に放映されます。
高知県が生んだ偉人ですが、そんな牧野氏にゆかりのあるクラフトジンが高知県で作られ2022年1月に発売となりました。
今回の記事では、高知県初のクラフトジン『マキノジン』をご紹介します。
牧野富太郎氏とは
高知県佐川市にある酒造も行っている酒屋で生まれ育ちましたが、実家の商売もそこそこに子供の頃から植物観察にのめり込み、ついには植物学者になって94歳で没するまで植物研究に人生をささげた日本の偉人です。
明治22年に「ヤマトグサ」を発見・命名しましたが、それ以前の日本の植物学は新種を発表するほどの力は無く、外国人の植物学者によって命名されていたという現状でした。牧野博士が発見・命名した品種は1500以上に上ると言われ、まさに日本の植物学を根本から変える様な人物だったんですね。
日本中を旅しながら植物の標本を集め続けていたため、それによって実家の商家の財産を使い果たしたというくらいですので、本当にのめり込んだら周りが見えなくなるほど熱中するタイプの研究者だった様です。
植物の絵も自分で描き研究成果を描いた本を何冊も自費で出版していましたが、78歳になりその集大成として、現在でも何回も改訂されて出版されている『牧野日本植物図鑑』が刊行されることになりました。
牧野博士は東京練馬区に30年ほど住んでいたことがあるらしく、なんと練馬区栄誉区民の称号が与えられていました。私(さっとん)と嫁も偶然にも東京都練馬区在住なので、練馬区大泉学園にある博士の邸宅跡につくられた「牧野庭園」にお邪魔していろいろと勉強してきました。
お茶の間でも相当の人気があったらしく、晩年は大泉学園の家周りにマスコミ各社がテントをたてて報道しているほどだったので、国民全員が牧野博士を見守っていたそうです。
↑写真は、「牧野庭園」にありました牧野博士のパネルですが、こちらはボトルのラベルデザインにもなっていますが人柄の良さもにじみ出てますよね。
マキノジンとは
ジン作りのきっかけ
高知県で作られる初めてのジンということですので、期待大ですね!
土佐学協会に所属している高知のBAR Crapsのオーナーバーテンダーでもある塩田貴士さん。ジン作りの発端は、高知の文化である「酢みかん」とジンの組み合わせをしたいということで、それでは高知のジンを作るしかないじゃないか、というとでプロジェクトが始まったそうです。
マキノジンを発売する際にクラウドファンディングも実施しており、その時に作られたマキノジン作りのストーリーを描いた動画も紹介されています。気になる方は全編をご覧になってみてください。
ベーススピリッツ
出典:PR TIMES 司牡丹酒造 × 土佐料理 祢保希(ねぼけ)
ジンの製法は、一度蒸溜されたベースのアルコール(ベーススピリッツ)に風味付けのボタニカル(スパイス、ハーブ、柑橘フルーツの皮、etc.)を加えて再蒸留するのが一般的ですが、マキノジンはベーススピリッツにもこだわりがあります。
塩田さんが若いころから好きだったという高知県佐川町の酒蔵、司牡丹酒造の清酒取り焼酎『大土佐』をベースにしています。司牡丹酒造さんは創業400年という老舗の酒蔵であり、坂本竜馬もその酒を飲んでいたと言われるほどの高知県を代表する酒蔵です。『大土佐』は焼酎と日本酒の間の様な味ということです。
製造用の蒸留器も個性的
司牡丹酒造さんは主に日本酒を製造していますが、かつては焼酎造りも手掛けており、今回のジン作りで10年以上ぶりにその蒸溜器が使われるそうです。なんと昭和58年製の蒸溜器ということで、時代を超えてきたその歴史に愛着を感じたそうですね。
こちらも、詳しくはマキノジンのクラウドファウンディングのページに詳細が載ってますので、気になる方はご覧ください。
そしてこの蒸留器が設置してある司牡丹酒造さんの酒蔵は、牧野博士の生家の後ということで、マキノジンたる所以としてとても由縁があるのも素晴らしいですね!
使われているボタニカル
ジンに必須のボタニカルであるジュニパーベリーを始めとして、ぶしゅかん、 かやの木の削り節 、高知県産グァバ、仁淀川山椒、イエルバブエナ(キューバンミント)、レモングラス、コリアンシード、生姜、スペイン甘草など、高知県産のものが多く使われています。
情報は高知県まとめサイトである「高知家の○○」から頂いてきました。
そして一番注目のボタニカルは、牧野博士の奥さんである寿衛子夫人の名を冠した「スエコザサ」ですね。寿衛子夫人は55歳でこの世を去ったということで、牧野博士は彼女をしのんで、前年に発見したこの新種の笹を命名したそうです。
テイスティングノート
とても和を感じる味わいですね。高知県が日本一のショウガの産地ということもあり、ショウガのスパイシーさが強く感じられて、イエルバブエナやレモングラスなどのスッキリとした清涼感もあり、グァバによるフルーティーさも感じられます。
「スエコザサ」も特徴的ですね。子供の時に作って遊んだ笹笛の様な、草木を感じられる青い味わいも確かにあります。
そしてベーススピリッツである『大土佐』は、日本酒と焼酎の中間の様な味がするとのことですので、強烈ではなくほんのり香ってくる吟醸香も良いですね。
そして、酢みかんとの組み合わせを考えて作られていますので、柑橘類がガーニッシュ(つけあわせ)にすると非常に合います。ちなみに、「酢みかん」というのは高知に古くから伝わる慣習で、柑橘の実を食べるのではなくいろいろな食べ物に搾りかけて柑橘風味を楽しむというものです。↓は高知県の特産品の金柑(きんかん)をガーニシュにしてジントニックを作った風景ですが、めちゃくちゃ美味しかったです!
最後に
高知県初となるクラフトジン『マキノジン』。いかがでしたでしょうか。高知の特産品をふんだんに使用した贅沢な仕上がりになっていて、現在ブームとなっているクラフトジンと高知県の風土の融合が素晴らしいです!
味ももちろんですが、牧野富太郎氏が来年2023年のNHK朝ドラの主役のモデルになっていますので、その名前を冠したマキノジンも注目度が上がるのではないでしょうか。
高知県の風土を味わい方はぜひ試してみてください!
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